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『燃えにくい空気』
冷蔵庫の冷やす原理を知っているだろうか。
これは、液体が気体になるときに熱を奪っていく、いわゆる気化熱が利用されている。
一般的にはフロンが使われており、フロンをポンプで圧縮しつつ放熱させて液体化し、
この液体状のフロンを冷蔵庫にまわす。フロンは気化とともに冷蔵庫の中の熱を奪い、
冷蔵庫の中が冷やされる。
現在は、フロンがオゾン層を破壊することがほぼ確実に判明しているため、フロンが
使用禁止とされている。もっとも、民生品まで全面禁止されているかまでは知らない。
冷蔵庫などはまだフロンガスが使われているかもしれない。
フロンガスを使わない冷凍、冷房方法として、イオン化や金属・金属接合を利用する
もの、振動で発生する熱を一方通行させることで逆側を冷やす方法、などがあるらしい。
実用化されているものもあるが、開発中のものもある。残念ながらどれもまだ実物を見
たことがない。
冷蔵庫の冷やす原理については、テレビや本でしばしば紹介されているので知ってい
る人も多いと思う。私も上記のことは本やテレビ番組で知った。
それでは、燃焼で熱くなる原理については知っているだろうか。こちらは私はテレビ
で見たことはない。わざわざ本屋に行って化学の参考書をいろいろ探してみて、初めて
知ったのである。
火はなぜ熱いのだろうか。
それは私は知らない。答えは火の精霊にでも聞いて欲しい。
物理的な話は私には理解出来ないので、高校生程度の化学の雑学程度のことに絞ろう。
普通に使っている火は、石油やガソリンや木などの炭化水素・有機物が、酸素と反応
して熱を発生するものだ。だから、簡単な炭化水素であるプロパンC3H8の燃焼を例に
してみよう。
プロパンも酸素も安定であり、常温ではほとんど反応しない。だからまず、C3H8お
よび酸素O2を加熱、すなわち点火しなければならない。加熱するとそれぞれの分子内で
の結合がゆるくなり、CとHが、そしてOがそれぞれ分離しやすくなる。また、熱せら
れたことでそれぞれの分子が活発に運動し、分子同士の衝突が激しくなる。そのため、
C3H8分子およびO2はそれぞれ分解される。分解された各原子は、後述の理由により別
の形に再結合される。C、H、0は、概ねこのように再結合されるらしい。
C3H8(気体)+5O2(気体) → 3CO2(気体)+4H2O(液体)+530Kcal
最後にある530Kcalというのが、プロパンガスを燃やしたときに発生する熱量だ。
さらにこの発生した熱は次の反応を促し、連鎖反応で大量のプロパンガスが燃えていく。
おそらく530Kcalのうちの何%かは別のプロパン+酸素の反応のために消費される(*1)
が、それでもまだ十分なだけの熱量が残る。この余った分を利用してお湯が沸かせるわ
けだ。なるほど。
しかし一体、530Kcalという熱量どこから出てくるのだろう。
(*1 確認していない。実は反応熱は530Kcal+αで、このαが
次の反応に消費されるエネルギーと平衡しているように思える)
分子はそれぞれ、保有しているエネルギーが異なるらしい。例えば、同じ元素でも固
体の状態と気体の状態とではエネルギー形態に差がある。固体の状態では、分子のエネ
ルギーは他の分子との結合力として存在する。一方、気体の状態では他分子との結合力
は必要無いため、代わりに分子の運動エネルギーが大きくなる。この分子の運動エネル
ギーは、通常、人間が温度として認識しているものだ。
同様に、固体から液体、液体から気体に変化するときには分子間結合力が小さくなり、
変わりに運動エネルギー(温度)が大きくなる。見方を変えれば、液体に温度を加えれ
ば気体になる、というわけだ。
だから、冷蔵庫のフロンも、
液体フロン+冷蔵庫内の温度 → 気体フロン
と解釈できる。液体フロンに渡した温度の分だけ、冷蔵庫内が冷やされる。
それぞれの分子および元素は、保有エネルギーが低い方がより安定する。
プロパンC3H8と酸素O2の場合、これらの保有エネルギーよりも水H2Oの保有エネ
ルギーの方が低い。したがって、それぞれの分子が加熱されて不安定になると、再結合
されて今度は水蒸気H2Oになる。そして、プロパン・酸素と、水蒸気との分子の保有エ
ネルギーの差が、熱量として放熱されるのだ。
さらに気体の水蒸気は、常温だとそれより安定な液体の水へと変わり、そのエネルギ
ー差も放熱される。
余った炭素Cはどうなるかというと、これもやはり炭素Cと酸素OでいるよりCOと
いう分子になった方がより安定するので、一酸化炭素COになり、さらに安定な二酸化
炭素CO2になる。この過程でもやはりエネルギー差が放熱される。これらの反応で放熱
された熱量の合計が、530kcalになるわけだ。
分子による保有エネルギーの差は、どうやって求められるのだろう。残念ながら、こ
れを理解するには、どうやら高校生の化学の雑学程度では不足らしい。
ところで、炭化水素・有機物燃料が燃えるのは、空気中から酸素が潤沢に供給される
からだ。
ところが空気には、窒素80%程度と酸素20%程度とその他二酸化炭素や水蒸気な
どが含まれており、酸素よりも窒素の方が圧倒的に多い。だからなぜ酸素ではなく窒素
が反応しないのかという疑問が生まれてくる。
窒素について調べてみると、窒素分子N2は活性が低いらしい。しかし活性が低いと
いっても、ヘリウムやネオンのような価電子0の気体とは違い、酸素や水素などと分子
化し得る。例えばアンモニアNH3や一酸化窒素NOなどが実際に存在する。しかしどん
な本を見ても酸素と水素の反応の中に窒素が現れたりはしない。なぜ窒素が無視される
か、理由は分からない。
窒素は、周期率表では炭素と酸素の間にあるというのに、不思議なものだ。
それでも、窒素が実際に不活性だということは経験上明らかなことだ。窒素と酸素が
容易に反応するようでは空気が燃えてしまう。それは困る。
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| 散歩 21/Dec/1999 |